平成27年度に得られた主な成果は以下の通りである。 (1)準中性条件を実空間で計算可能なソルバーを新たに開発し、磁場形状の三角度が帯状流(ZF)や測地的音波モード(GAM)に与える影響について評価した結果、楕円度が大きくなるにつれて、帯状流の残留振幅が増加することが明らかとなった。この結果は、大域的ジャイロ運動論モデルで初めて解析された結果であり、三角度による帯状流の制御の可能性を示唆している。 (2)運動量源を導入した熱源駆動型乱流輸送シミュレーションを行った結果、トロイダル回転が力学的平衡を介して強い径電場を駆動し、内部輸送障壁が安定的に形成されることを第一原理に基づいたシミュレーションで初めて明らかにした。 (3)トロイダル回転方向と磁気シアの影響について詳細に解析した結果、「順トロイダル回転」かつ「弱磁気シア」の場合に内部輸送障壁が形成されることを示した。この傾向はJETにおける実験の観測結果と一致する。さらに、順トロイダル回転が輸送障壁形成に有効である物理メカニズムを、非局所バルーニング理論と運動量輸送理論を用いて理論的に明らかにした。 (4)反転磁気シア配位で同様の解析を行ったところ、(3)と同様のメカニズムで強い径電場、ならびに運動量シアが安全係数の極小値近傍で形成され、内部輸送障壁をもたらすことを新たに見出した。この結果は、JT-60Uの反転磁気シア放電における観測結果と定性的に一致する。
|