研究課題
本研究は磁場の不均一性の強い領域におけるプラズマの流れ構造形成を明らかにすることを目的としたもので、磁化領域のプラズマ回転を制御することで回転するプラズマの流れ構造を磁化領域とイオン非磁化領域に渡り統一的に調べることに重点をおいた実験研究である。昨年度(H25年度)は回転を制御するための同心円筒電極を新しく開発した。電極へのバイアスによって生じるE×Bドリフト回転によって回転の向きや強度、分布が制御可能であることを確認した (E、Bはそれぞれ電場と磁場)。特に、円筒形状を採用することによってプラズマへの擾乱が少なく効率的なプラズマ中の径方向電場形成が可能となり、回転の効果を調べるための一つの指標であるイオン音波速度をもつ回転に必要な強さの電場を作ることが可能となった。H26年度はこの電極を用いて無回転のプラズマから回転が支配的なプラズマまでを生成し、様々な条件で実験を行うことでプラズマの回転が流れ場の構造形成に与える影響について調べた。沿磁力線方向のプラズマ流速に対して回転速度が上昇するとき、円柱プラズマの中心領域に反転流分布が形成されることが観測された。反転流は回転系における特徴的な流れ構造の一つで、非圧縮の中性流体では比較的よく知られた流れのパターンである。一方、非圧縮性や電磁力を受けるプラズマ中における反転流形成についての実験的な報告は少なく、このような流れ場がプラズマ中でも発生する興味深い結果を得た。また、反転流の性質がイオン非児か領域で解消される傾向にある初期結果も得られた。本課題で得られた成果の一部は寺坂他:Journal of Plasma Physics 81 (1), 345810101 (2014) に掲載されたほか、第56回アメリカ物理学会 Division of Plasma Physics (2014)を始めとする国内学会で報告を行った。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件)
Journal of Plasma Physics
巻: 81 ページ: 345810101-1_9
http://dx.doi.org/10.1017/S0022377814000695
巻: 81 ページ: 345810204-1_10
http://dx.doi.org/10.1017/S0022377814001147
Review of Scientific Instruments
巻: 85 ページ: 113503-1_4
http://dx.doi.org/10.1063/1.4901096