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2013 年度 実施状況報告書

Cp類Ir触媒を用いた水素移動反応に対する新たな溶媒効果評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25810006
研究種目

若手研究(B)

研究機関山口大学

研究代表者

隅本 倫徳  山口大学, 理工学研究科, 准教授 (40414007)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード溶媒効果 / 有機金属触媒
研究概要

本研究は,遷移金属触媒であるCp*Ir (Cp* = η5C5Me5)触媒を用いた水素移動反応にQM/MC/FEP法を適用し,新規な溶媒効果評価法を開発することを目的としている。平成25年度は,①Cp*Ir触媒を用いた1-フェニルエタノールの水素移動反応の計算化学による反応解析,②金属を含む系に適応させるためQM/MC/FEP計算を行うプログラム,PowerMCへのMOPAC2009の導入,を行った。
①に関して,すべての構造は密度汎関数理論(DFT)計算により最適化を行った。汎関数としてB3LYPを用いた。QM/MC/FEP法と比較するために,これまで一般的によく使用されているSCRF法のSMD計算によって,簡易的に溶媒効果の評価を行った。
気相中において本触媒反応は,3段階で進行した。3段階の反応におけるそれぞれの遷移状態TS1,TS2及びTS3の活性化自由エネルギー(ΔG‡1,ΔG‡2,ΔG‡3)はそれぞれ8.0,25.4及び19.8 kcal/molと計算された。この結果から,本反応は第二級アルコールを脱水素させる2段階目が律速であることがわかった。この反応機構のΔG‡ の変化に関して,SCRF法により数種類の溶媒効果を評価した。アセトニトリル中における2段階目の ΔG‡ は気相中に比べ,9.5 kcal/molほど大きいと計算された。その他の溶媒においても,気相中と比べると2段階目のΔG‡ は大きく不安定化された。一方,アセトニトリル及びDMSO中におけるΔG‡1は1.7 kcal/molほど小さい。同様な傾向は ΔG‡3 についても認められた。以上の結果から,ΔG‡2 が最も溶媒の誘電率の影響を受けることがわかった。
②に関して,現在PowerMCへのプログラム導入の最終段階であり,導入終了後,テスト計算を開始する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Cp*Ir触媒を用いた水素移動反応にQM/MC/FEP法を適用し,新規な溶媒効果評価法を開発するという研究目的を達成するために,①既存プログラムの改良,②実験による反応速度測定,③理論計算による反応機構解析及び自由エネルギーの算出,の三つの課題を挙げ,それに対応するように研究計画を立てた。当初の計画と順序は異なるが,課題③のIr触媒を用いた水素移動反応の反応機構解析は終了し,簡易的な手法ではあるものの数種類の溶媒における自由エネルギー変化を評価できた。課題①については実施予定の半分は終了している。課題②について,論文に記載されている方法でIr触媒を用いた水素移動反応の予備実験は終了した。現在は,これらの結果と課題③で得られた反応機構を参考にすることで,反応速度定数の測定方法の検討を行っている。これらの結果から,本研究課題はおおむね順調に進行していると考える。

今後の研究の推進方策

本研究課題は現在のところ,研究計画の前後はあるもののおおむね順調に進行しているが,今後の課題は,実験的な反応速度定数の測定である。一段階及び二段階反応の反応速度定数は比較的容易に測定できるが,多段階反応になると反応速度定数の測定は困難となる。本研究では,理論計算を用いた反応機構の解析を行っており,律速段階を明らかにすることができる。これらの結果を参考にすることで,反応速度定数の具体的な測定方法を検討することができる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Cp*Ir触媒を用いたアルコールの脱水素反応の溶媒効果に関する理論的研究2014

    • 著者名/発表者名
      前山恵璃、隅本倫徳、堀憲次
    • 学会等名
      第51回化学関連支部合同九州大会
    • 発表場所
      北九州国際会議場(北九州市)
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-28

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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