ナノ物質近傍に局在する近接場光と分子振動の相互作用を記述・数値計算するための手法開発を行った。近接場光は急峻な強度勾配や光源となる物質の形状に準ずる複雑な電気力線分布を有する非一様な空間構造を持つため、従来の双極子近似では記述できない。そこで多重極ハミルトニアンに基づいて任意の空間構造を持つ電場を考慮した分子振動励起の定式化を行い、電子状態計算の結果を利用して赤外吸収スペクトルを計算するプログラムを作成し、単体分子あるいは表面吸着分子への適用を行い、近接場光電場の強度勾配や電気力線分布の効果を明らかにした。
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