プロペラの形をした分子には、らせん構造と同様にPもしくはMで表記可能な右巻き・左巻きの鏡像配座が存在し、そのキロプティカル特性は一方の鏡像配座を単離もしくは優先してはじめて発現する。このプロペラキラリティの創出と制御の観点から、特に鏡像配座間を可逆に相互変換する動的分子プロペラに焦点をあててきた。ベンゼン環を中心として六つの芳香環を周囲に配し、それらを三重結合で連結したヘキサキス(フェニルエチニル)ベンゼンや階層構造を有する類縁体を足場とし、キラリティ伝達を利用した独自の方法論でプロペラキラリティの制御とキロプティカル特性の観測を行った。
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