研究課題/領域番号 |
25810018
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
一杉 俊平 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20632136)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ピーポッド / カーボンナノチューブ / フラーレン / 超分子 / 分子機械 |
研究概要 |
単層カーボンナノチューブ(SWNT)と内部空間に包接されたフラーレンとの会合体(ピーポッド)の構造や,その相互作用は興味深い.しかし,物理的な合成法により得られるSWNTは長さ,直径,カイラリティが多様なものの混合物であるため,その構造・相互作用に関して化学的なレベルでの解析は不可能であった. 本研究は,申請者らが近年化学合成を達成した有限長のSWNT,[4]シクロクリセン([4]CC)を用いることで明確な構造をもつ「分子性ピーポッド」を構築し,その構造化学的な知見を得ること目的としている. 研究初年度の本年の前半では,[4]CCとフラーレンC60との会合能について検討した.蛍光消光滴定実験により,[4]CCがフラーレンの会合ホスト分子としては史上最大の会合定数でフラーレンを空孔内に包摂することを明らかにした.また,この極めて強い会合力にも関わらず内部のフラーレンが自由に回転可能であることを見出し,これを利用することによりフラーレン誘導体を回転軸とした分子ベアリングの構築を達成した. さらに本年度後半では,この分子ベアリングの回転軸として様々なフラーレン誘導体の検討を行い,種々の官能基を導入したフラーレン誘導体,高次フラーレン,分子/イオン内包フラーレンも適用可能であることを見出した. これに加え,光学活性ならせん型有限長SWNTである[4]CCが不正自己触媒反応の不斉源として働くことも見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定として,初年度では[4]CCとフラーレンの包接構造に関して,包接能,包摂構造に関する基本的な知見を得ることを目指していた.しかし,実際には本年度の研究で会合体の動的な挙動に関する知見も得ることができ,さらにそれを利用した分子ベアリングの構築にまで展開できた.以上より本年の研究成果は計画を超えた進展を達成したものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により包摂されたフラーレンの興味深い回転挙動を明らかにすることが出来た.今後は,この挙動を利用して新たな機能性を発現可能な新規会合体の構築を目指す.一方で,フラーレンと[4]CCとの間に働く相互作用に関しては未解明な部分も多い為,電気化学など多様な手法を駆使することで引き続きその相互作用の解明も行っていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末の学会参加登録費の支払いが年度内の決算に間に合わなかった為繰り越し 日本化学会第94回春季年会参加登録費として使用
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