研究課題
単層カーボンナノチューブ(SWNT)と内部空間に包接されたフラーレンとの会合体(ピーポッド)の構造や,その相互作用は興味深い.しかし,物理的な合成法により得られるSWNTは長さ・直径・カイラリティが多様なものの混合物であるため,その構造・相互作用に 関して化学的なレベルでの解析は不可能であった.本研究は,申請者らが近年化学合成を達成した有限長のSWNT,[4]シクロクリセン([4]CC)を用いることで明確な構造をもつ「分子性 ピーポッド」を構築し,その構造化学的な知見を得ること目指し研究を行った.研究最終年度の本年度は,フラッシュ分光法を用いることで分子性ピーポッドの光誘起電子移動過程を解明することに成功した.また,研究期間終盤では,計算化学的手法を駆使することで,分子ピーポッド内でのフラーレン誘導体の回転挙動には2つの回転モードが存在することを見出した.本研究期間を通して,分子ピーポッドを用いることで,筒状のsp2炭素曲面に包まれたフラーレン誘導体の挙動に付いて,分子レベルでの知見を数多く得ることができた.また,この知見を利用し,分子ベアリングへの応用に向けた基礎的な検討も行った.本研究で得られた成果は,今後のカーボンナノチューブの応用に向けた重要な知見となると考えられる.
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Chemical Science
巻: 6 ページ: 印刷中
10.1039/c5sc00335k
Organic Letters
巻: 16 ページ: 3352-3355
10.1021/ol501381x