本研究では既報の我々の研究成果を元に、主に二種類のπ電子の偏り(分極構造)に着目した新しいπ電子系の設計と合成を行った。(1)ピロール縮環アザコロネンにカルボニル基を導入した分子を合成したところ、近赤外領域まで伸びた吸収スペクトルが得られ、各種測定・計算結果から、中性状態において開殻系の化学種が安定化学種である珍しいπ共役系化合物であることが示唆された。(2)ナフトビピロールをドナー、フルオロベンゼンをアクセプターとするπ電子分離型共役オリゴマーの合成を行ったところ、低温にするにつれ、各共役系の伸長が顕著になることが明らかとなった。
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