孤立電子対と空のp軌道を併せ持つ高周期14族元素2価化学種の構造ならびに反応性に着目し、2,2'-ジアミノビフェニル骨格を利用した7員環キレートの導入による、構造歪みと反応性との関係について検討した。 その結果、ゲルマニウムおよびスズの2価化学種の単離に成功し、その構造を同定した。カルボニル化合物との反応において二つの間で違いがあり、ゲルマニウム2価化学種は[2+2+1]付加環化反応が見られるのに対し、スズではカルボニル化合物の配位のみが観測された。しかし配位したカルボニル化合物はジエンとの間でヘテロDiels-Alder反応が進行し、触媒量のスズ存在下でも進行することを明らかにした。
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