発光性および二酸化炭素還元光触媒能を有するレニウム(I)錯体を環状に連結したレニウム多核錯体が、その核数や連結様式を種々変化させることで、錯体内の配位子間相互作用に由来する高効率な光増感特性だけでなく、強発光性や多電子蓄積能を示すことを明らかにした。特に、最も長い励起寿命を有する環状多核錯体を光増感剤として用いる二酸化炭素還元光触媒反応を検討し、これまで報告されている中で最も高い反応量子収率を示す光触媒系を実現した。さらに、配位子間相互作用に基づく正四面体型銅(I)錯体の合成にも挑戦し、平面配位子間の芳香環相互作用を有する錯体を得たが、十分な発光性を示す安定な銅錯体を得るには至らなかった。
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