固体であるにもかかわらず、まるで液体のようにプロトンが固体内で動くプロトン伝導体は燃料電池の固体電解質として期待されている。本申請では金属イオンと有機配位子が自己集合で組み上がる配位高分子において、1.中温域(200-400℃)で0.1 S/cmを超えるプロトン伝導能の発現を目的とした。 配位高分子の利点である規則性・設計性を十分に生かした系統的な合成を実施し、様々なプロトン伝導性の化合物を得ることに成功した。平成26年度では、前年度で得られた知見を元に、結晶欠陥に高い運動性を有するプロトン伝導性分子を埋め込む、といった新しい分子設計を提案し、合成に成功した。得られた化合物は、150℃で0.005 S/cmと中温域で非常に高いプロトン伝導性を示した。目標としていた、中温域(200-400℃)で0.1 S/cmには若干届かなかったものの、実用レベルの値である。実際に燃料電池を組み上げ、世界初の配位高分子型燃料電池の発電実験に成功した。
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