研究実績の概要 |
ポリスチレンビーズ分散液を用い、レーザー照射によるコーヒーリング形成の変化を検討した。直径1 μmのビーズ分散液10 μlをガラスボトムディッシュ上に滴下し、蓋をした状態で、波長1064 nm, 200 mWのレーザーを液滴の中央、および端に照射しながら乾燥させた。レーザーを照射しない場合と比較し、どちらも荒れたリング構造を形成した。特に液滴端に照射した場合は、放射状の乾燥パターンが得られた。 ゲル微粒子からなる構造形成として、ナノゲル分散液を用いた実験を行った。アクリロイル基を導入した疎水化プルラン(CHPOA)、末端にアクリロイル基を付与した4分岐ポリエチレングリコール(PEGOA)、光反応開始剤を用いて、アクリロイル基をUV照射により反応させゲル化すると同時に、液滴を乾燥させ、ナノゲルのリング構造を形成する手法を試みた。CHPOAとPEGOAがモル比5:1、CHPOA の終濃度が15 mg/ml になるように混合し、これをスライドガラスに巻きつけたテフロンフィルターに10 μL滴下して室温で放置した後、365 nmのUV光照射を15分間行った。その後再び室温で乾燥させ、顕微鏡で観察した。CHPには蛍光色素を付与しており、この蛍光よりナノゲルの分布を調べたところ、ナノゲルがリング状に残った構造が観察された。3D測定レーザー顕微鏡で表面形状を調べたところ、ドーム状に盛り上がっており、PEGが中央に多く存在していることが分かった。また、中央の高さはPEGの混合比を下げると低くなった。そこでPEG を含まないCHPOAのみの分散液でも同様の実験を行ったところ、ナノゲルのリング構造が確認された。この光架橋ゲルには蛍光を付与したCHPOAしか含まれていないことから、蛍光強度が厚さにほぼ比例すると考えられ、リング様の構造が作成できた。
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