本研究ではカチオン性のアリールパラジウム(II)錯体がトランスメタル化とよばれる反応に対して高い活性を有することを利用して、これを種々の環状構造分子の合成に応用したものである。結果として、分子量が数千にまで到達する環状オリゴマーの合成法であったり、光学活性な置換基を有する環状構造錯体、高度に歪んだ光学活性な有機分子の合成に至った。また、本研究の手段として用いていたトランスメタル化に関しても、これ自体が反応条件を整えると溶液中において可逆な反応であることを見出すなど、基礎的かつ重要な知見も得るに至った。
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