研究課題/領域番号 |
25810071
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
阪口 壽一 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60432150)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポリアセチレン / 気体分離膜 / 二酸化炭素分離 / イミダゾリウム塩 / ジメトキシ基 / 脱保護 |
研究概要 |
「メチロール基を有するポリ(ジフェニルアセチレン)」当初の予定通りメチロール基を保護したジフェニルアセチレンモノマーを合成し,メタセシス重合により対応するポリマーを合成することができた。テトラブチルアンモニウムフルオリドをポリマー膜へ作用させることで,脱保護が進行し目的物であるメチロール含有ポリ(ジフェニルアセチレン)膜を得ることができた。膜状態でかさ高い保護基を脱離させることで,極性基であるメチロールが形成されるにもかかわらず,膜の自由体積分率が大きくなることを明らかにした。今後は脱離基のサイズを変更したポリマーを合成して,膜状態から脱離する置換基のサイズと自由体積分率の関係について詳細に検討していく予定である。 「イミダゾリウム塩を含むポリ(ジフェニルアセチレン)」ポリ(ジフェニルアセチレン)膜へメチルメチルイミダゾールを置換する方法を確立した。本方法で合成できるポリ(ジフェニルアセチレン)膜は側鎖にイミダゾリウム塩を含むため,イミダゾリウム塩と親和性の高い二酸化炭素を選択的に透過させる膜であることを見出した(Polymer 2013, 54, 6709-6715)。 「ジメトキシ基を有するポリ(ジフェニルアセチレン)」側鎖にジメトキシベンゼンを含むポリ(ジフェニルアセチレン)を合成した。本ポリマーの側鎖は五塩化タンタルや塩化アルミニウムに配位することがわかり,溶液中で擬似的な架橋構造を取りゲル化,極性溶媒の添加によって金属を除くことが可能であった。この知見を元にポリマー膜内の空間制御へと展開できると考えている(Polymer 2014, 55, 1977-1983)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた構造のポリマーを合成することができ,ポリマー膜から保護基を脱離して自由体積分率の変化について明らかにすることができた点は順調である。しかし、モノマー合成および重合反応を確立するために時間がかかってしまったため、保護基サイズの検討は未だ検討できていない。 一方、興味深いポリマーとしてイミダゾリウム塩やジメトキシ基を含むポリマーを合成することができ、二酸化炭素分離への応用や空間制御へ展開することができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
脱離基効果を明らかにするため、サイズの異なる置換基を有するポリ(ジフェニルアセチレン)を合成し、置換基脱離前後のポリマー膜の気体透過性を調べる。 ジメトキシ基を有するポリ(ジフェニルアセチレン)の様々な金属イオンを添加しポリマーとの配位能力について調べ、金属イオン添加がポリマー膜の空間形成に及ぼす影響を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
イミダゾリウム塩含有ポリマーやジメトキシ基含有ポリマーの興味深い膜材料が見つかり、これらの合成と特性の研究へ比重が偏り、当初予定していた保護基サイズの変更が未検討であり、必要となる比較的高価なシリル化剤等の薬品購入費が少なくなった。 昨年度に購入していない比較的高価なシリル化剤の購入に当てる。さらに、ジメトキシ基含有ポリマーの金属配位能について種々の金属について検討し、空間制御ポリマー膜へ応用を目指すため、多種の金属類を購入する。
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