生体内に存在するオリゴ糖鎖は、密集すること(クラスター化)によって強い生理活性機能を発現している。従来の有機合成法では合成が煩雑あるいは困難なオリゴ糖鎖を側鎖に有する糖鎖高分子を、保護基を使用することなく簡便に合成することに成功した。さらに、得られた糖鎖高分子を用いてレクチンとの相互作用を水晶発振子マイクロバランス法により解析したところ、遊離糖よりも数千倍強い結合定数を示したことから、合成した糖鎖高分子がクラスター効果を有することを確認した。さらに、シアル酸含有オリゴ糖鎖を側鎖に有する糖鎖高分子は、ヒトまたはトリインフルエンザA型ウイルスと強力に結合することを赤血球凝集阻止試験により確認した。
|