研究課題
これまで、天然高分子を原料とする分解反応の開拓が精力的に進められているが、特殊な触媒の開発、触媒の後処理、副反応の制御など様々な問題を有する。コストの面で負担がかからない手法としては硫酸を用いた加熱加水分解があるが、硫酸は今日酸性で中和除去が面倒である。また中和の際に生成する硫酸円の廃棄の問題もある。本研究では、水と二酸化炭素から発生する炭酸を用いた反応を行った。他党のモデルとして担当を用いての反応を行い、党そのものが炭酸存在下で示す反応およびその選択性について種々の反応条件(温度、圧力、水の量)などがおよぼす影響について比較検討した。セルロースおよびアミロースの構成単位であるグルコースは、炭酸の存在により、脱水反応が起こり、5-ヒドロキシメチルフルフラールが分解することで生成したと考えられる化合物も同時に検出した。反応条件の中でも温度の影響は特に顕著で、120℃ではほとんど反応が起こらないのに対して150℃以上ではグルコースが完全に消費された。また、180℃以上になる℃黒色固体が生成した。圧力は、二酸化炭素の導入量に依存して高くなり、二酸化炭素を導入することでグルコースの転化率は、著しく上昇したが、7 MPaで漸近した。このことはおそらく二酸化炭素の相転移に由来するものと考えられる。さらに90℃程度の低温での反応を行ったところ非常に反応速度は遅い物の黒色固体を生成することなく目的とする5-ヒドロキシメチルフルフラールが得られることが明らかとなった。以上の通り、通常は硫酸のような強酸を用いる反応を炭酸のような弱酸によって誘起することが可能であることを明らかとした。さらなる詳細な条件検討が必要である。
3: やや遅れている
二酸化炭素加圧下での反応は、単糖類を用いた際、目的とするグルコシド化反応を誘起することを明らかとした。二酸化炭素の圧力、反応温度、反応時間は、糖の転化率へ影響を与えることが明らかとなった。しかしながら、何らかの副反応が起こっており、選択率が低下することが明らかとなった。特に高温では、選択率が著しく低下した。このことは、糖が熱により分解あるいは、水酸基の脱離および異性化などの副反応を誘起するためと考えられる。さらに糖から生成した有機酸が副反応を加速することも推察される。一方で低温での反応では上述の副反応はほとんど観測されず、選択率は高い値を取った。
高圧二酸化単を用いて反応を行ったところ、温和な条件でグルコースから5-ヒドロキシメチルフルフラールが得られることを明らかとした。特に温度条件に対して顕著な変化を示すことが明らかとなり、90℃と温和な条件で副生成物を伴わずに5-ヒドロキシメチルフルフラールが生成することを明らかとした。より詳細な条件設定を行い反応の精密制御を行う予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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