研究概要 |
加熱炉を用いる外部加熱方式では作製されるモノリスのポアの均一性に限界がある。今までに,マイクロ波照射により逆相系分離に適するシリカおよび有機高分子モノリスキャピラリーカラムを通常の熱重合時間を約1/20~1/100(最短では10分で調製できる)に短縮し,従来のin-situ熱重合法で調製されたモノリスと比較して遜色のないレベルを達成した(L. W. Lim, M. Ishihara, T. Takeuchi, 投稿準備中)。但し,重合(調製)時間は大幅に短縮できたものの,キャピラリーカラムの前処理には24時間の長時間を要している。 そこで,本年度は,一般的に有機高分子モノリスに使用されるアクリルアミド系やメタクリル酸エステル系等のモノマーに代わって,マレイン酸系のモノマーを使用することにより,カラム管に前処理を施さず,カラムの調製にポロゲン(細孔形成剤)を使用しない,従来のカラムよりも調製手順が少ない,簡便かつ斬新なカラム調製法を見出した。モノマーとしてマレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)を選択し,ここに重合を促進させるために1-プロパノールを添加しモノマー溶液を調製した。このモノマー溶液を未処理および前処理済のフューズドシリカキャピラリー(0.32 mm I.D.)に満たし,熱重合させた。走査型電子顕微鏡での観察から,ポリマー骨格は直径1μmの球体が連なったような形状をしていた。また,カラムの内壁にポリマーの層が形成されており,ポリマーとカラムは前処理による化学的な結合の代わりに,摩擦力により物理的に固定されていると考えられた。調製したカラムにて最適な分離条件で分離したところ,未処理のカラムと前処理済みのカラムでは性能に有意差は見られなかった。
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