研究実績の概要 |
今までに、マイクロ波照射により逆相系分離に適するシリカおよび有機高分子モノリスキャピラリーカラムを通常の熱重合時間を約1/20~1/100に短縮し、従来のin-situ熱重合法で調製されたモノリスと比較して遜色のないレベルを達成してきた。また、マレイン酸系のモノマーを使用することにより、キャピラリーカラム管に前処理を施さず、カラムの調製にポロゲン(細孔形成剤)を使用しない、従来のカラムよりも調製手順が少ない、簡便かつ斬新なカラム調製法(i.e. ポロゲンレス調製法)の開発を試みた。
このポロゲンレス調製法(カラムの調製に前処理を施さず細孔形成剤を使用しないこと)によりカラムの調製時間を大幅に短縮できたが、反応モノマーの検討に必要となる試薬を入手できなかったこと、また、キャピラリーカラム内部の温度をはかることができないことからマイクロ波の照射効果およびカラムの分離性能に与える影響等を検討することが困難であった。しかしながら、マイクロ波照射により、重合時間の差によるモノリスカラムの骨格や流路のサイズを比較したところ、重合時間が短い方がより大きな骨格と流路が調製されたことがわかった。
マレイン酸系のモノマーを用いることにより、細孔形成剤を用いなくとも、骨格と流路が三次元的につながった構造を形成できることがわかった。また、未処理のフューズドシリカキャピラリーチューブを使用しても固定相が溶出しないことから、従来の固定相よりも少ない手順で調製可能な高性能マレイン酸系モノリスカラムの調製が可能であることがわかった。作製した固定相は、2-エチルヘキシル基を有するため、逆相モードで評価した。調製したカラム(長さ=100 mm、カラム内径=0.32 mm)にて最適な分離条件で分離したところ、理論段数はおよそ1,000段で圧力は0.6 MPaであり、未処理のカラムと前処理済みのカラムでは性能に有意差は見られなかった。
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