研究実績の概要 |
昨年度、アミン性イオンペア試薬を用いた、リン酸基含有化合物の選択的分析法を開発したが、今回、フルオラス(パーフルオロアルキル鎖同士がもつ特異的親和性)と金属キレートアフィニティーとを組み合わせたヌクレオチド類の選択的抽出法の開発を行った。本法の原理はFe(Ⅲ)を配位したperfluoroiminodiacetic acid(PFIDA)試薬を利用してリン酸基含有化合物を選択的に捕捉・抽出することに基づく。今回、アポトーシスを誘導(Anti-Fas抗体投与)させた急性リンパ性白血病細胞株(Juekat細胞)に本抽出法を適用し、ヌクレオチド類の定量・解析を試みた。Anti-Fas抗体を投与したJurkat細胞試料(0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 12及び18時間)に本法を適用したところ、各ヌクレオチド類の定量が可能であった。さらに、定量結果に多変量解析を施したところ、スコアプロット上でアポトーシスの進行度を視覚的に判別することが可能であり、その結果は、フローサイトメトリーによって確認した細胞状態の推移とよく一致していた。今後、本法により確認されるアポトーシスの進行度合いと、がん細胞の状態の相関性を調べ、診断に有用か検討していく必要がある。 一方、アミロイドβのアミノ酸残基をピレン誘導体化し、HPLC分離後に蛍光検出することによって、アミロイドβのアミノ酸残基ごとに同時定量を試みるも、今回は達成できていない。
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