細胞膜電位は神経細胞等において各種細胞活動を制御する重要な要素である。そのため、膜電位の人為制御は医療分野への利用も期待できる細胞工学的アプローチである。本研究では、光により細胞膜電位を制御する新規手法の開発を行った。この目的のために、細胞環境において光誘起により高効率で電荷分離する分子の構造を模索し、凝集体構造をとりながらも41%の量子収率を示す分子開発に成功した。この分子と、各種比較対象分子をPC12細胞やラット由来ニューロンの細胞膜に導入し、光照射することにより有意に細胞膜の脱分極を引き起こせることと、その脱分極の度合いが電荷分離状態への量子収率に相関を有していることを見出した。
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