タンパク質の分子修飾は生命科学の研究において有用な手法であるにもかかわらず、現在汎用されている手法は求電子的修飾剤との共有結合形成反応に限られ、求電子的な反応以外の方法で天然のアミノ酸残基と特異的に効率良く変換を起こす反応の開発は挑戦的な課題である。 Ru(bpy)3錯体を用いた一電子移動型の反応により、芳香族アミノ酸チロシン残基に対する修飾法を開発した。生体内環境への調和性の高いRu(bpy)3触媒の特徴を活かし、標的タンパク質の親和性リガンドとRu(bpy)3触媒の共役した分子を用いることで、タンパク質の混在系や細胞内環境での標的タンパク質の選択的ラベル化反応に応用できることを明らかにした。
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