本研究では、正負両方向の電気化学反応を利用した高分子複合薄膜作成法の確立を目指した。具体的には、還元的条件の電気化学ATRP法で得られる高分子と酸化的条件で得られる高分子を、電気化学的に切り替えてワンポットで合成した。この方法で得られる薄膜は、基板上にそれぞれの高分子が高密度に敷き詰められており、ナノレベルで異種接合界面を形成している。また、電気的刺激のオン・オフで重合の開始・停止を容易に制御することができるため、任意の膜厚で高分子複合薄膜を簡便に作成することが可能となった。一連の成果には、異種類の高分子鎖を簡便かつ機能的に基板上へ配置する新たな手法としてさらなる発展が期待できる。
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