研究課題/領域番号 |
25810123
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
宮 瑾 山形大学, 理工学研究科, 助教 (30631759)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ゲル材料 / 熱ー力学変換 / 結晶性ゲル / 高透明性かつ高強度 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者独自の「メゾ・デコレーション」という材料の階層的高次構造デザインにより、スマートデバイスに適用しうるサーマル―メカニカル(TM)ゲル材料の開発を目指す。 H26年度は、TMゲル材料の熱―力学変換の科学原理を探究するため、以下の構造と物性評価を行いました。:(i) SEM、WAXS、SAXS等による結晶構造解析、(ii)ゲル専用の構造解析装置である走査型顕微鏡光散乱(略称:SMILS)による網目構造解析、(iii)引張、圧縮などの力学試験。 また、TMゲル材料の機能評価をするため、スマートなロック機構が付与されたゲルボタンスイッチユニットモデルを設計し、作成しました。このユニットはカバー、ボタン、TMゲルディスク、ベースの4つパーツで構成されています。このボタンスイッチユニットモデルを用いてテストを成功し、TMゲルの応用可能性を実証しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
TMゲル材料の熱―力学変換の科学原理を探究するため、予定していた(i) SEM、WAXS、SAXS等による結晶構造解析、(ii)SMILSによる網目構造解析、(iii)引張、圧縮などの力学試験など以外に、TMゲルの誘電緩和測定による分子運動の評価や、DSCによる熱や結晶性の評価を行いました。とても興味深いデータが得られました。 さらに、最先端の3Dプリンタ技術を取り入れて、TMゲル材料の成形加工も検討し始めています。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度は、TMゲル材料高速応答性と形状回復力の追求にフォコスする予定です。 タッチパネルを素早く作動するため、TMゲルに刺激に対する速い応答速度と短時間に形状を回復できることが要求される。TMゲルに結晶化とエントロピー弾性が共存しているため、温度により比較的容易に制御可能な可逆Diels-Alder反応を用いて、結晶化とエントロピー弾性を競合させる結晶構造、網目構造を設計することを検討する。DA反応基をTMゲルに導入することより、結晶構造(物理架橋点)以外に、新しい熱可逆な架橋部位(化学架橋点)をTMゲルに構築する。DA熱可逆な架橋部位は、DA架橋部位以外の分子鎖の切断(力学物性劣化の主因)がなく、加熱/冷却によって解離/結合を繰り返すことができるため、高速応答性と形状回復力を追求できる以外に、TMゲル材料の耐久性も飛躍的に向上することが期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注した物品の納期が遅れていました。
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次年度使用額の使用計画 |
発注した物品に使用します。
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