がん診断・治療に向けたプローブや薬剤のキャリアの開発において、頻回投与時に著しく血中滞留性が減少するABC現象が問題として報告されている。そこでABC現象回避型高分子ミセル「ラクトソーム」を用いたがん診断・治療薬の開発を目指すとともに回避に必要な表面物性条件の解明を目的とした。ミセル表面を覆う親水相に注目し、親水鎖長の異なる5種のラクトソームを調製し、ABC現象の発現との関係を調査した。結果、親水相は0.07 本/nm2以上の密度、5.8 nm以上の厚みがABC現象回避に必須であることが明らかとなった。さらに、111Inラベル化してSPECT診断、90Yラベル化して治療実験を行った。
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