研究課題/領域番号 |
25810128
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
西井 圭 小山工業高等専門学校, 物質工学科, 講師 (00552928)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ペンタジエン / イソタクチック-cis-1,4-ポリペンタジエン / エチレン・プロピレンゴム / 水素添加反応 / 余剰化石資源 |
研究概要 |
われわれは余剰C5留分(ペンタジエン)の有効利用を考え研究を行ってきた.その結果,ペンタジエン(PD)の精密構造制御重合に成功した.得られたイソタクチック-cis-1,4-ポリPD(ICPPD)はcis-1,4-構造選択率97%のポリイソプレン(PIP)と同等のガラス転移温度(Tg)を有し,工業的に重要なPIPの代替材料になりうることを示した. 一方,EPM・EPDM(エチレン・プロピレンゴム,エチレン・プロピレン・ジエンゴム)は,原油を蒸留・精製し,さらに分解・精製して得られるエチレンとプロピレンを共重合して製造される.得られたEPM・EPDMの用途は,自動車用水系ホースなど自動車用ゴム部品,建築用ゴム製品,電線の被覆材,オレフィン系樹脂の耐衝撃性改質剤として幅広く用いられている.ところで,前述した製造工程は,蒸留,分解,精製そして重合と複数存在し,各工程では膨大なエネルギーが消費されている. 本研究では,化石資源のさらなる有効利用・環境負荷低減を考慮し,余剰C5留分で合成したICPPDからEPM・EPDMの合成を検討した.実験は,試薬のp-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)を用いてICPPDの水素添加反応(水添反応)を行いEPM・EPDMを合成する.水添反応条件を検討した結果,水添反応120 時間ではエチレン・プロピレン完全交互配列EPMの合成に成功した.一方,水添反応72 時間以内では,ICPPD由来の不飽和部位を有するEPDMが得られた.熱分析では,既製品EPM(エチレン含量52wt%)のTgが-59.6 ℃であったのに対し,本研究で得られたEPMのTgは-61.6 ℃を示した.よって,エチレンとプロピレンを用いず,ICPPDから合成したEPMは,既製品EPM代替材料になりうることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリペンタジエンの水素添加反応を所定時間行うと,エチレン・プロピレン完全交互配列EPMが生成することを見出した.本結果は,われわれが目的とする余剰化石資源からEPM・EPDMを合成する技術開発の重要な知見となる.よって,研究はおおむね順調に進展していると考えた.
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今後の研究の推進方策 |
目的とする余剰化石資源からのEPM合成に成功したので,本ポリマーの大量合成を検討する.その後,各種物性評価を目指す.また,ペンタジエンとジシクロペンタジエンの共重合を検討し,新規EPDM合成技術の探索を行いたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度購入予定であった設備に関して,初年度の物品費が約40万円足りず購入できなかったが,前年度の研究計画を遂行するうえで支障はなかった.しかし,次年度の研究計画では必要となるため,次年度購入費として約50万円を未使用額にした. 前年度の残額50万円と次年度交付予定額50万円を合算して,前年度導入予定であった設備を購入する計画である.
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