研究課題
若手研究(B)
単一の高エネルギー荷電粒子を高分子薄膜(タンパク質などの生体高分子などを含む)に照射することで、粒子の飛跡に沿った円柱状の領域に高密度のエネルギーが付与される。そうすると、その部分にのみ高分子架橋反応が起こり、高分子の性質を反映する均一な高アスペクト比を有するナノワイヤ群が形成される。本研究課題においては、このナノワイヤ群の形成手法である単一粒子ナノ加工法を利用して、特定の物質や刺激に対して可逆的に応答するインテリジェントナノアクチュエータ群の創成し、生物・医学などへの応用を目的とする。平成25年度においては、温度応答性高分子であるPoly(N-isopropylacrylamide)と親水性高分子であるPolyvinyl pyrrolidoneからなる連結ナノワイヤ群のアクチュエータとしての機能を評価したところ、温度刺激による形状変化によってポリスチレンナノ粒子の吸着を制御できた。さらに、アビジン-ビオチン相互作用を利用してビオチン化したヒト血清アルブミンからなるタンパク質ナノワイヤへHorse radish peroxidaseの固定化に成功し、活性を保持していることを確認した。本手法はアビジンもしくはストレプトアビジンを結合させたタンパク質であれば、自由自在に固定化することができ、さまざまな酵素活性を持ったナノワイヤ群の創成が可能となる。以上より、本年度は順調に計画を推進することができた。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度において申請時に挙げたアクチュエータ部分の形状変化によってナノ・マイクロ粒子の吸着制御、センサー部分の酵素活性を有する機能性ナノワイヤの形成という主要な二つの課題に対して成果が得られた。
平成25年度の年度目標は達成し、研究は順調に進行しているため、平成26年度は、予定通りこれらのアクチュエータ機能とセンサー機能を連動させたインテリジェントナノアクチュエータ群の形成を目指す。
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Nature Communications
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10.1038/ncomms4718