本研究では、(1)エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)に対するスチレンとクロロメチルスチレン(CMS)の放射線グラフト重合、(2)CMSユニットを起点とするp-スチレンスルホン酸エチルエステル(EtSS)の原子移動ラジカル重合(ATRP)、(3)EtSSユニットの加水分解、という3プロセスを経て燃料電池用新規電解質膜を作製した。(2)では、触媒と配位子の濃度を上げることで、50 ℃という比較的低温でEtSSのATRPが可能であることを見出した。得られた電解質膜は、従来の放射線グラフト電解質膜と比較し、高温・低湿度下においても良好なプロトン伝導性を示した。
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