現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、プリズムでの全反射(クレッチマン配置)を利用したエバネッセント光による超音波励起と計測システムの構築に取り組んだ。そして、当初の目標であった超音波励起の確認ができたため、おおむね順調に推進できたと考えられる。超音波発生用レーザとして、パルスレーザ(Nd:YAG, 1064nm, 200mJ)を使用し、弾性波の検出部については、フォトリフラクティブ二光波混合法を用いたレーザ干渉計(Nd:YAG, CW, 532nm, 200mW)を使用した。また、レーザ干渉計から得られる超音波波形を収録し、フィルタ処理やFFT等の各種解析、赤外線カメラの画像解析や熱電対からのデータ同期を可能とするLabVIEW計測システムを構築した。本計測システムによって、超音波の励起と計測、超音波の指向性を調査することができる。得られた超音波強度が毎回異なってしまうという難局に遭遇したが、プリズムと試料の表面粗さやうねりを計測した所、エバネッセント光の到達距離以上のうねりが存在したため、光がサンプルに届いていない可能性が考えられた。この問題に対して、プリズム-試料間の押しつけ力を付加したところ、力に比例した超音波強度が得られたため、これ以降の実験では、与圧をかけて実験することによって問題を解決した。また、プリズム-試料間に与圧をかけたときを熱力学的な閉じた系とし、与圧無しの場合を開放形として、レーザによるプラズマの衝撃圧力を理論計算したところ、閉じた系を形成すると開放系よりもはるかに衝撃圧力が高くなることが確認できた。当初懸念されたことは、急減衰する微弱な光を用いての超音波励起は、強度が不十分となる可能性があることであったが、この問題は解決可能であることが確認できた。
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