本研究では、骨リモデリング過程における骨細胞の力学刺激感知機構を明らかにするため、微視的な高分子構造から巨視的な骨基質の材料特性までを考慮したマルチスケール力学解析を行った。まず、骨細管内に存在する細胞周囲マトリックスを考慮した流体―構造連成解析を通じ、間質液流れによる骨細胞突起の変形を調べた。また、層板構造を有する骨組織を多層多孔質弾性体としてモデル化し、骨小腔―骨細管系内の骨細胞に負荷される流れ刺激を定量的に評価した。さらに、骨小腔―骨細管構造の異なる骨梁に対してリモデリングシミュレーションを行い、微細な流路構造の相違が骨梁の適応的な形態変化を及ぼす影響を明らかにした。
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