DLC膜の耐熱性(酸化開始温度)は約400℃といわれており,他の硬質膜に比べて耐熱性が低いことが指摘されていた.そのためDLC膜は優れた機械的特性を有しているのもかかわらずその応用範囲に制限があった.一方,著者はDLC膜にSiを添加することで耐熱性が改善できることを見出してきた.これらの背景をもとに,本研究では650℃以上の高温環境下でも従来の機械的特性を損なうことなく使用できるSi添加したDLC膜の開発を行なった.その結果,微量のSiの添加によって約800℃の耐熱性を実現できること,耐熱性を付与できるSi添加率は10~12.5at.%の範囲のみであることを明らかにした.
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