研究課題
若手研究(B)
平成25年度における本テーマの研究概要については以下の通りである.加工原理は,工具に対してモータによる回転運動と圧電振動子による超音波振動運動を組み合わせることにより,工具軌跡を正弦波状やトロコイド曲線状にし,その運動軌跡の一部を材料表面に残存させて微細なパターンを創成するものである.これまでは多数の切れ刃を有する砥石を用いて実験していたが,単粒ダイヤモンド砥粒を超硬合金のシャンクに電着した工具の作製を依頼し,この工具を用いて加工することで,加工現象の解明を進めた.その結果,軸方向に振動させた場合,微細構造の創成機構は想定されたとおりであることが確認され,また斜め方向への送りを重畳することで効率よく微細構造を残存させることについて確認できた.一方,たわみ方向に振動させた場合,砥粒を連続的に押し込んだ形状が材料表面で確認された.しかしこの振動方式の場合,砥粒に対して作用する負荷が大きくなり,砥粒側が損傷することも明らかとなった.さらに軸方向とたわみ方向を同時に負荷した場合には,無秩序な表面が得られることが確認された.単粒工具の実験においては,実用上の問題点として,加工時のバリの発生の確認できたことが大きい.特に本加工法では正弦波状に運動した場合の上下の切返し点で材料の盛上りが顕著となる.このような材料の変形・除去の特性に関しては切削加工専用の有限要素解析ソフトウェアを用いて検証している.工具端面に単粒ダイヤモンド砥粒を電着した新しい工具を依頼しており,この工具を用いることで,新たなパターンを創成することを行う予定である.
2: おおむね順調に進展している
単粒工具の製作を依頼し,それを用いて実験を行うことで超音波振動援用加工における微細構造創成について検証できた点,新たな工具について依頼し本年度より実験を行える点,FEM解析について着手して切削機構を検証することができている点から,本研究に関しては計画に対して順調に進展している.
砥石端面に砥粒を電着した工具を用いて加工を行う.原理上,軸振動を援用した場合には連続押込みを行った状態となるため,回転数と振動数に応じた加工痕が残存し,たわみ振動を援用した場合にはトロコイド曲線状の加工痕が残存する.これらの効果に関して検証を行う.また表面機能性の評価として,接触角計を用いて表面の濡れ性の評価を行う.
新規設計した砥石の納品が遅れたため.延期となった品目は次年度(平成26年度)に納入されるため,使用年度以外は当初計画と同様に予算を使用する予定である.
すべて 2013
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International Journal of Automation Technology
巻: Vol.7 No.6 ページ: 654-662