研究課題/領域番号 |
25820025
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 光産業創成大学院大学 |
研究代表者 |
花山 良平 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 講師 (20418924)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光干渉計測 / 位相計測ディフレクトメトリ / 非球面 / 自由曲面 / 超精密計測 / 計測工学 |
研究概要 |
本研究では測定に広いダイナミックレンジが要求される非球面や自由曲面などの複雑な曲面の形状を数nm程度の高い分解能で測定可能な位相計測ディフレクトメトリ法を用いた形状測定装置の開発を行う計画であり、2年計画の1年目である平成25年度は位相計測ディフレクトメトリ装置の構築を行った。また、同時に位相計測ディフレクトメトリ装置と協調し高信頼性精密形状計測手法を構成する光干渉計測について、位相検出手法の高精度化に関する検討を行った。 位相計測ディフレクトメトリ装置は縞パターン提示用液晶ディスプレイ,画像取得用カメラ,および試料台からなる.この手法では液晶ディスプレイの表示分解能が測定精度を律する要因となる。検討の結果、放射線診断用の医療用画像提示モニタがこの手法に適することがわかり、導入を行った。この手法は液晶ディスプレイに提示された正弦波状の濃淡を有する縞模様の位相を測定することで形状計測を行うが、縞模様は実際には画素構造と段階的な濃度階調から成る離散的なパターンにより構成されている。このような状況における位相検出について検討を行った。また、実際には測定分解能は装置の構成やサイズにより可変し、測定対象により自由に選択することが可能である。これらの検討に基づき、装置の設計を行い、現在、構築作業を進めている。 光干渉計測ではこれまでの検討で、干渉縞位相検出手法の評価手法について明らかにしている。この手法を応用し、より実際的な状況で位相検出手法の評価を行い、それに基づき高信頼性位相検出手法の構築を目指しており、検証評価用の干渉計の整備を行った。高信頼性位相検出手法は位相計測ディフレクトメトリ法での位相検出にも適用される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では非球面や自由曲面を対象とした高信頼性形状計測手法の構築を目指しており、現在は位相計測ディフレクトメトリ装置の構築を行っている。当初計画では2年計画の1年目である平成25年にこれらの構築を行い、初期の測定を行う予定であったが遅延が生じている。その主な要因は測定手法の確認と実装に予定以上の時間を要したことにあり、具体的には、校正手法の確立に時間を要した。位相計測ディフレクトメトリ法は非常に柔軟であり、構成を変更することで任意の測定範囲や測定分解能を自由に設定することが可能である。これは光干渉計測での参照平面の様な測定基準を用いないことが柔軟性の要因の1つに上げられるが、その代わりに装置の構成要素の相対位置関係が精度良く求まっていることが肝要であり、これらを担保する校正手法の確立がこの技術の成否に大きく関わっている。しかしながら本研究課題では、測定基準を要しない位相計測ディフレクトメトリ法と測定基準を用いる光干渉計測との融合を目指しており、これは光干渉計の測定基準を位相計測ディフレクトメトリの基準として流用することと等価であり、本研究課題により位相計測ディフレクトメトリの校正手法が確立される。また、主要装置の導入は完了し、現在、装置構築を行っており、次年度前半に当初予定のスケジュールに復帰できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2年計画の2年目に当たる平成26年度の第1四半期を目途に遅延している位相計測ディフレクトメトリ測定装置の構築と初期の測定を行う。その後は当初計画通り、光干渉計測との比較・統合手法の検討を行い、提案手法を評価する.具体的には、位相計測ディフレクトメトリと光干渉計の測定結果を高精度で比較する手法を検討する.この比較ではディフレクトメトリと干渉計双方の位置合わせやデジタル表現のためデータポイント数や位置の変換を行う必要が想定される.これらを高い精度に実施する手法について検討を行う. 位置合わせ不良と形状測定結果の不整合は判別がつかないことが予想される.高い精度が要求される場面での測定データの相互比較方法について他の分野での事例を調査し,反映させる.試料のなかで広いダイナミックレンジが要求される部分とそうでない部分に分けることができる場合,どちらかの測定結果をより重視すると言った測定結果の決定戦略を取ることも想定される. そして,実際の非球面レンズや軸外し放物面鏡などの形状測定を行う.ディフレクトメトリ法と光干渉計の双方を用いて測定を行う.多様な試料の測定により提案手法のダイナミックレンジについて評価と考察を行う.光学部品の他,金型等の機械部品の形状計測も試みる.金型計測では自由曲面や平面,エッジ部などが混在し,光学部品に比べて形状は複雑であると考えられる.一方、表面粗さは光学部品と同程度か劣ることが予想され,このような状況での提案手法の適用可能性についても検討を行う. 最後に,実際の形状測定結果についてディフレクトメトリ法と光干渉計の相互比較を行う. それぞれ単独での測定結果と相互比較を経たのちの測定結果について検討し,測定の信頼性の向上について評価を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね計画通りに執行しているが、構築する装置の設計に一部遅延が生じ、次年度繰越となった。 繰り越し分は平成26年度早々に執行する予定である。
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