研究課題/領域番号 |
25820026
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
千葉 良一 旭川工業高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (10506083)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 塑性加工 / 圧延 / 接合 / 薄板 / アルミニウム / せん断ひずみ / 剥離 |
研究概要 |
結晶粒を微細化することによる材料強化技術が注目されている.この有力な方法の一つに,繰返し重ね接合圧延法(ARB)が挙げられる.この方法により作製された板材は,過度の負荷が作用した場合,接合界面からはく離が生じるという欠点を有する.したがって,ARBの基礎となる接合圧延において,接合強度を向上させる技術開発が望まれている. 本年度は,通常の等径ロール等周速圧延により,接合界面に導入される塑性ひずみ量を圧延機に過度の負荷をかけずに増加させる新しい接合圧延法を提案し,その方法による接合強度の上昇量をT型はく離試験によって定量的に評価した.提案する手法は,表面処理を行わない面を含む板材を4枚重ねて,それらを同時に圧延することで,接合界面を圧延ロール接触面により近い位置へ移動させるもので,これにより接合面により大きな加工ひずみを与えることができる. はく離試験の結果より,提案する方法が従来の方法より高い接合強度を持つ材料を生み出す可能性が示唆された. また本年度は,Equal Channel Angular Rolling (ECAR)という強ひずみ加工法を通常の接合圧延の直後に施し,接合界面に追加の塑性ひずみを導入することで接合強度を高める新しい接合圧延法も試した.具体的には,通常の接合圧延後,圧延機のロールバイト出口に設置した115°で曲がったスリット(隙間1 mm)を持つ専用工具に,圧延接合された板を強制的に通し,板厚全域にわたってせん断ひずみを導入する方法である.この場合も,接合強度の向上に対する提案手法の有効性を,T型はく離試験を通して定量的に評価した. 提案する接合圧延法は従来の方法と比べて,より硬い材料を作製でき,なおかつ一定の圧下率を上回るとECARの相乗効果が加わって,接合強度が約30%も改善された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は交付申請書に記載した計画通りに研究が進んだ.研究に必要な治具等を予定よりも早く設計することができ,余裕を持って加工に移ることができた.研究を手伝ってくれた学生達の手際の良さも有り,当初予定していた程度の実験データは難なく取得することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については,交付申請書に記載したとおりである.来年度はレーザーを利用した研究に着手するわけだが,レーザーを用いた表面処理技術について詳しい有識者が本機関(旭川高専)を退職したため,技術的アドバイスを請うことが難しくなってしまった.しかし,レーザー加工に関する基礎知識を有する職員が本年度冬から復職したため,研究の支援をお願いしている.また,市の技術センターへの技術相談や専門書籍等からの情報の入手によって,なんとか研究を遂行していく予定である.
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