研究課題/領域番号 |
25820028
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
成田 幸仁 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90431519)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 機械要素 / トラクションドライブ / 転がり疲労強度 |
研究概要 |
トラクションドライブ変速機のパワーウェイトレシオ向上(小型化と高伝達動力の両立)のための設計法確立を最終目標として,トラクション油膜のせん断力によるローラ内部の応力変化や材料中の欠陥と介在物の存在等の影響因子を考慮した転がり疲労強度推定式を求め,設計段階でシミュレーションによりトラクションドライブの転がり疲労強度を評価することを目的とする. 今年度は,転がり疲労強度に影響を及ぼす非金属介在物の寸法分布を,ローラ材であるSCM420H通常鋼と清浄鋼の試験片観察により求めた.この結果をワイブル分布と呼ばれる確率分布関数に当てはめることで,計算機上で実際の鋼材と同じ介在物分布を有する仮想ローラ材を生成できるようにした. また,表面にトラクション力が働くローラの内部応力分布を,市販の境界要素プログラムであるTED/CPAを用いて計算した.本プログラムでは,トラクション力を摩擦係数として与えることができる.実験値である摩擦係数0.12を与え,トラクションドライブでの動力伝達に必要な押付力を変化させてローラの内部応力分布を計算し,疲労強度と比較できるようにした. さらに,転がり疲労強度シミュレーション法の開発を1年前倒しで行い,予備計算の結果,転がり疲労強度の実験値との誤差数%以下という良好な結果を得た. トルク容量不足となっている二円筒転がり疲労試験機の改良については,モータの選定や,従動側ローラ減速用の歯車対の設計を終え,これらを設置するための試験機の構造変更設計を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
転がり疲労強度シミュレーションについては,計算の基礎データとなる,材料中の介在物分布,試験ローラの表面硬さ測定結果,ローラ内部応力の計算結果を当初予定よりも早く揃えることができた. 転がり疲労強度推定式の導出や転がり疲労強度シミュレーション法の開発については次年度に行う予定であったが,計算の基礎データ収集が上記の通り予定よりも早く終わったため,前倒しで行うことにした.予備計算の段階であり,かつ実験回数も十分ではないが,転がり疲労強度の計算値と実験値を比較したところ,誤差数%という良い結果を得ている. 一方,転がり疲労試験を安定して進めるための疲労試験機の改良については,遅れが生じている.予定では年度内に設計を終える手筈であったが,図面の完成が遅れている.構造の概略や,改良部品の諸元設計は既に終えており,残すは図面の作成のみであるので,目的達成への影響は少ない.
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今後の研究の推進方策 |
実験装置の改良については遅れているが,転がり疲労強度シミュレーション法の開発は当初の予定以上に進んでいる.現在のところ,研究の推進に支障をきたす問題は生じていない. 今後は装置改良の遅れを取り戻し,当初の予定通りに転がり疲労強度の多数個試験と疲労強度推定式の精度向上に取り掛かる.平成26年度内に転がり疲労強度の平均値の精度を高める.強度のばらつきについては平成27年度も継続して実験を行う予定である. 予定以上に進んでいる転がり疲労強度シミュレーションについては,計算手法の高度化により,推定精度のさらなる向上を図る.
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次年度の研究費の使用計画 |
ローラの内部応力分布を計算するための市販の境界要素プログラムTED/CPAについては,本申請採択前である前年度に,前倒しで別財源から購入した.これが,次年度使用額が生じた主たる理由である. 次年度は転がり疲労試験機の改良を行う.また,試験回数を増やせば精度の良い疲労強度分布が得られるため,ローラ試験片の製作数は多い方が良い.本年度余剰金は,これら,特にローラ試験片の製作数増加に充てる.
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