研究課題/領域番号 |
25820034
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
宮島 敏郎 富山県立大学, 工学部, 講師 (60397239)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウェットブラスト / 微細凹凸 / 摩擦 / トライボロジー / 高Si含有アルミニウム合金 / Al / スラリー / 摩耗 |
研究実績の概要 |
昨年度加工した凹凸テクスチャ面の加工条件を適用し,凹凸テクスチャ面を創製したプレート試験片に相手材となる軸受鋼球を所定の荷重で押し付けて往復摩擦させる試験を行った. 摩擦試験には,往復摩擦試験機(HEIDON Type:32)を用いた.往復運動するステージに試験片を固定し,無添加パラフィン系基油(動粘度77mm2/s@20℃)を20μl表面に滴下する.これに相手材となる直径10mmの軸受鋼球(SUJ2ボール)を荷重2Nで押付けて,すべり速度100mm/min, ストローク10mm,往復回数1000回ですべり摩擦させた.摩擦力はロードセルにより検出され,A/D変換器を介してパソコンに送られる.各往復回数の動摩擦係数は解析ソフトにより往路と復路との平均として算出された. 1000往復までの往復回数に伴う摩擦係数(以下,μと表記)の変化をみると,摩擦開始時のμの挙動や,一定にμが推移する時のμの平均値がSi凹面,Si凸面,未加工面で異なることがわかった. そこで,各試験片の摩擦係数の違いが現れた要因を探るため,SEM/EDXを用いて様々な往復回数の摩耗痕を詳細に観察・分析した.その結果をまとめると,以下のことが考えられる.30°加工面(Si部凸)の場合,Si相が凸部になっていることで, Si相が相手材の荷重を支え,Al部分との摩擦が抑制されることでμが他の試験片よりも低下することが明らかになった(低摩擦維持効果).90°加工面(Si部凹)の場合,Si相が凹部となっていることで,凹部に潤滑油が溜まる潤滑効果や軟らかいAl部が表層にあるために,形状なじみがしやすいために,他の試験片よりも往復回数が少ない段階(約10回)でμが低下する(初期なじみ効果)ことが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
摩擦試験に関して,計画通り進んでおり,微細凹凸表面と摩擦特性との関係についても少しずつ明らかになってきていることから,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
実施計画に基づき,Si相の凸部の高さ,窪み深さと摩擦特性の関係,Si相部分の面積割合の関係などを明らかにし,これまでの結果を総合し,摩擦摩耗特性に及ぼす最適なSi相凹凸表面創製指針と,材料設計指針の提示を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等の購入で,361円端数分次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の実験消耗品費として,繰り越し分を使用する.
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