研究課題/領域番号 |
25820047
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 公祐 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60455152)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流体工学 / 水資源 / 混相流 / 気泡 |
研究概要 |
本研究で理解しようとしている現象(気泡群による膜洗浄)は,気泡運動,気泡が誘起する液体の流れ,流れと膜の相互作用等を含んでおり,本対象を単に直接観察するだけでは,正しい理解は得られない.そこで,実験,シミュレーションともに,この現象を素要素に分解し,単一気泡,気泡群,単一気泡と膜の相互作用の理解へと進めていくことで,膜洗浄における各素過程の役割を明らかにし,最終的に全ての要素を含む気泡群ー膜での膜洗浄メカニズムを明らかにすることを計画して進めた.これまでの研究で構築してきた計測・画像処理システム及び気泡運動モデリング技術を活用して小規模疑似二次元気泡装置壁面上の模擬汚れ近傍における気泡運動を画像分析により把握し,単一気泡による洗浄効果を検討した.その結果,壁面をスライドする気泡による洗浄効果がウエイク効果に比べて卓越していること,気相流量が増加すると気泡数及び気泡径が増加するが気泡速度もともに増加するため,ある流量以上では洗浄効果の増加は得られないことを確認した.このことにより,パイロットスケール実験において指摘されている事実をある程度説明できると考えられる.また,膜表面に生じる剪断応力や三次元的な流れの構造を把握するために,既開発計算技術を応用・発展させた気泡と膜の流体構造練成シミュレーション技術の開発を進めた.まず,界面を追跡する機能について,表面張力と粘性力の適切な評価法について検討し,論文として発表した.また,詳細な三次元シミュレーションを実現するため,解適合格子法の導入を進め,界面近傍のみに動的に高い空間分解能を用いるコードをの基盤を構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,気泡実験及び気泡シミュレーションの両方から上記目的の達成を目指しているが,上述のように,単一気泡による洗浄効果に関する基礎知見を取得するとともに,シミュレーション技術の改良,発展を進めており,次年度のさらなる発展が期待できることから,概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に引き続いて,膜(あるいは模擬汚れ)近傍における気泡運動を画像計測により把握し気泡と膜面の直接接触やウエイクによる洗浄効果を検討するとともに,気泡が引き起こす流れの乱流特性を測定して乱流渦による膜洗浄効果を検討する.また,膜表面に生じる剪断応力や三次元的な流れの構造を把握するために,既開発計算技術を応用・発展させて気泡と膜の流体構造練成シミュレーション技術開発及び気泡・膜三次元シミュレーションを実施する.具体的には,気泡が引き起こす流れの乱れ構造を測定し,気泡誘起乱れによる膜洗浄効果を検討する.一方で,詳細な気泡・膜三次元シミュレーションを実施して膜表面に生じる剪断応力や三次元的な流れの構造を把握し,微視的視点から膜洗浄メカニズムを明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく中で,実験においては,小規模疑似二次元気泡装置によって得られた成果を踏まえ,計画していた次のスケールの装置を製作する前に小規模実験によるデータベース取得をより充実させる必要があると判断したこと,及び数値シミュレーションにおける並列化指針を臨機応変に判断するため計算機環境の構築をやや後ろにずらしたことにより,次年度使用額が生じた. 次年度使用額発生理由に記載した通り,気泡実験装置製作及び数値シミュレーションの円滑な実施の目的に使用する.次年度使用ではあるが,研究は計画的に進めており,使用時期の変更が研究全体の進行(本来の目的への進展)において問題を生じることはない.
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