研究課題/領域番号 |
25820051
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 康方 日本大学, 理工学部, 講師 (20424749)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 流体計測 / 境界層流れ / 壁面せん断応力 / 光学計測 / チャンネル流れ / 乱流境界層 / 局所抵抗 |
研究概要 |
平板上の乱流境界層に関する基礎的研究に多く使用されいた壁面せん断応力の直接的計測手法である、オイルフィルム干渉計測法を、様々な形状の物体が模型として使用される風洞試験で実用的に使用可能なツールとして発展させるべく、アスペクト比10、流路高さを代表長さとしたレイノルズ数で約6000~18000の範囲で、それに必要な評価や手法の改良について取り組んだ。 従来はおよそ5mm程度の直径の円形の液滴をつくって計測しているが、壁面せん断応力値の局所計測のニーズに対応するため、直径1mm程度の円形の液滴をつくり評価を行ったところ、直径5mmの場合と比較して局所抗力係数はおよそ2%の差で一致したので、この液滴の大きさでも十分に実用に足るものであることがわかった。 アスペクト比10における局所抗力係数のレイノルズ数に対する変化をDressler(イリノイ工科大学)によるアスペクト比18による計測値と比較したところ、レイノルズ数12500~18000の範囲でほぼ一致したため、この範囲ではチャンネルの壁による影響はアスペクト比10~18では同程度であると考えられる。 ここまでの研究成果をThe 24th International Symposium on Transport Phenomenaにて査読を通過して講演発表を行い、情報発信した。 上記計測は十分下流で発達した乱流境界層となる位置で計測したが、十分に発達してい上流位置での計測も試み、層流から乱流への遷移領域とみられる位置では干渉縞の流れる方向が一様ではなく計測が困難であることがわかった。このため、画像解析方法を二次元性の強い流れにも適用可能とするようにする必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
フィルムプローブ検定用風洞測定部における壁面せん断応力値の左右対称性を保つための装置設置調整に手間取ったため、フィルムプローブによる重力の影響調査の実験が行えていないため。また、二次元性の強い流れに対応するための画像解析方法において、オイルの進行方向を自動検出して解析方向を決定するためのプログラム修正が完了していないため。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、画像解析プログラムの改良(二次元流れに適用可能とする修正)を引き続き進める。それと並行して重力による影響調査のため、フィルムプローブを用いた平板・翼模型による風洞実験を実施する。二次元性の強い流れにおける評価は当初デルタ翼模型を予定していたが、その前段階として既設のチャンネル内に渦発生器を設置して二次元流れをつくって評価を行う。はく離流れでの評価については、当初二次元翼の負圧面における定常的な現象のみを対象としていたが、はく離点が時間的に変化するような非定常現象についての本計測手法の適用可能範囲と逆流の場合の適用可否を明らかにする。はく離点の位置の時間的変化をリアルタイムに把握するため、低風速条件にしてスモークワイヤー法による可視化計測を併用することを検討している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
2013年12月から1月にかけて予定していたイリノイ工科大学への出張を次年度へ繰り下げ調整したため、これに関わる予算(約35万円)を使用しなかった。また、実験の進捗状況により臨時職員の総勤務時間数が予定よりも少なかったため、使用した人件費が少なくなった(29万円→約7万円)。その他、実験の進捗状況により模型の製作費の発生が少なかったことおよび可視化情報学会全国講演会、機械学会関東支部講演会での講演を時期尚早として見送ったため、これらに関わる予算を使用しなかった。 研究の進捗によりはく離流れや逆流をともなう流れにおける本計測手法の有効性についてニーズが生じたため、この点における研究成果についてイリノイ工科大学のNagib教授と議論、助言をいただき、必要に応じてイリノイ工科大学の設備において検証するために、成果の出る時期に合わせて2015年3月に米国への出張を新たに計画して、前年度の出張予定費(約35万円)をあてる。前年度の人件費の残額(約22万円)は前年度予定分の実験で次年度への持ち越しが生じたため、これに関わる人件費にあてる。模型製作費、学会発表の残額(約7万円)は、渦発生器製作費用および可視化計測費用として使用する予定である。
|