研究課題/領域番号 |
25820054
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡島 淳之介 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (70610161)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 相変化伝熱 / マイクロスケール / マイクロチャネル / 高熱流束冷却 / 二相熱流動 |
研究実績の概要 |
本研究では、高発熱密度を持つ電子デバイスの冷却や医療・生物学分野で求められている微小冷凍器などの実現を目指し、マイクロチャネル内相変化熱流動現象を利用したマイクロメートルオーダーの微小領域における高熱流束冷却機構について、基礎理論を構築し、理論に基づいた応用展開への第一歩を目指す。本研究の目的は (1)マイクロチャネル内における液体の相変化現象により生じる気泡および液膜のダイナミクスと伝熱の理論を構築することによる現象の詳細な解明、(2) ミクロ液膜の熱伝導と蒸発による核沸騰限界熱流束を超えた超高熱流束冷却機構の提案である。 本年度はマイクロチャネル内における気泡の相変化伝熱現象に対して、新たな計算コードを構築し、詳細に解析を行った。 構築した新たな計算コードでは、液体分率分布から、界面形状を鋭利に捉えることが可能となった。また相変化量の計算を、界面への熱流束から計算するように変更した。これらの改善により、相変化伝熱と気泡形状の計算をより精緻に行えるようになった。 マイクロチャネル内の相変化伝熱現象を一般化し、普遍的な性質を理解するために、等温過熱液中での気泡の膨張過程を計算した。初期過熱度の違いにより、気泡の膨張プロセスの加速度が異なり、それに伴い液膜の厚さが変化することを示した。また、形成した液膜の伝熱量を評価したところ、液膜が加速膨張しているケースでは、液膜の一部のみで壁面との熱交換が生じること、つまり壁面との熱のやり取りに制限があることを示した。液膜の厚さを評価する上で、液膜の平均厚さを用いることにより、表面張力と粘性力の比であるキャピラリー数と液膜厚さの間に相関が見られることを見出した。さらに相変化伝熱現象の一般化を目指し、熱力学の関係式をもとに新たなモデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数値解析が大幅に進展し、当初予定以上の成果を得られた。実験指針も得られたため、最終年度は実験に注力する。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度はマイクロチャネル内の気泡膨張過程の実験を行う。これまでの研究で構築した数値解析コードにより現象を予測し、実験結果の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定した予算を効率よく使用でき、次年度予定している実験の消耗品に備えることが良いと判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことにより発生した未使用額であり、平成28年度の請求額と合わせ、平成28年度の研究遂行に使用する予定である。
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