研究課題/領域番号 |
25820060
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
菅野 望 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40529046)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 反応素過程 |
研究概要 |
アルコールの着火・燃焼で重要となるβ-ヒドロキシアルキルラジカルと酸素分子の反応について,レーザー光分解/近赤外キャビティリングダウン分光法による素反応計測装置の開発と量子化学計算,遷移状態理論/支配方程式解析による理論計算を行った.流通式管型反応器,分布帰還型半導体レーザー及び高反射率ミラーからなる過渡吸収用キャビティリングダウン分光装置を設計,製作し,基礎データの取得と性能評価をおこなった.理論計算では炭素数2, 3のβ-ヒドロキシアルキルラジカルと酸素分子の反応のポテンシャルエネルギー曲面を探索した.申請者がこれまでにおこなったα-ヒドロキシアルキルラジカルの反応と比較するとHO2ラジカル脱離経路の反応障壁は大きく,過酸化ラジカルへの再結合安定化経路とOHラジカルの脱離経路が重要となることが示唆された. β-C2H4OH + O2に関して遷移状態理論/支配方程式解析による反応速度及び生成物収率に関する検討を行った.室温7.6 Torrにおける速度定数は4.6×10^-12 cm^3 molecule^-1 s^-1となり,既往の実験報告(3.0±0.4)×10^-12 cm^3 molecule^-1 s^-1と良く一致した.生成物の分岐比は圧力に大きく依存し高温,低圧ではOHラジカル生成経路が,低温,高圧ではHOC2H4OO過酸化ラジカル生成経路が重要となることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験研究では計測用いるレーザー光分解/近赤外キャビティリングダウン分光装置の設計,製作及び性能評価を行った.理論研究では幾つかのヒドロキシアルキルラジカルに関するポテンシャルエネルギー曲面の探索を行うとともに,最も小さいC2H4OH + O2反応に関して反応速度定数と生成物分岐比に関する計算を行った.実験,理論研究それぞれの進捗は当初の計画に対しおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は完成した計測装置を用いた反応速度,生成物の実験計測及びC2H4OH以外のヒドロキシアルキルラジカルの理論計算を行い,実験と理論との比較検討を行う.申請者がこれまでに検討してきたα-ヒドロキシアルキルラジカルと酸素分子の反応の知見も踏まえ,置換基効果や過酸化ラジカル安定化エネルギー,生成物経路への反応障壁エネルギー等の観点から整理し,より炭素数の大きなヒドロキシアルキルラジカルと酸素分子の反応素過程予測に関する普遍則を見出す.
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次年度の研究費の使用計画 |
計測装置の消耗品一括購入による値引き適用による. 実験試薬や真空配管,継手等消耗品の追加購入に用いる.
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