平成26年度は、クライオプローブを模擬した、同心二重円管構造の流路を用いて、液体窒素を流動させた場合の伝熱・流動特性を明らかにした。特に、流路の断面積が狭小となった場合に発生する、周期的な圧力変動と伝熱特性との関係について考察を行った。当初、つくば市の高エネルギー加速器研究機構内で、液体ヘリウムによる実験を計画していたが、実験期間の調整が難しかったため、秋田高専内での、液体窒素を用いた実験に焦点を当て、極低温流体が狭小流路を流動する際の、伝熱・流動特性を明らかにした。 本実験装置では、液体窒素流動時に、圧力変動測定を実施した。その圧力データに高速フーリエ変換(FFT)解析を行い、液体窒素流動時の圧力振動について明らかにした。結果としては、流量が比較的低く、流路内の状態が気液二相流の場合は、約180 Hzに圧力振動のピークが観測された。一方、流量が高くなり、液体窒素単相の流れになると、気液二相流で観測された圧力振動のピークは消失した。よって、この180 Hzの振動は、気泡の発生に起因するものであることが分かった。これらの圧力振動の結果と熱伝達率の傾向を比較すると、圧力変動のピークの有無と熱伝達率の変化に相関があることを確認できた。また、外部からの熱侵入の有無による変化については、熱侵入を模擬した場合では、圧力変動が断続的に大きくなる時間が長くなることが分かった。流路に侵入した熱が液体窒素を蒸発させ、その際の挙動が圧力変動の計測結果に表れたことが確認できた。
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