研究課題/領域番号 |
25820074
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石川 諭 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60612124)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 柔軟性計測 / 集中系モデル / 押込み試験 / 振動加振 / 弾性率 / 触診 |
研究概要 |
本研究では,生体組織のような柔軟物の硬さを計測するために,接触子の押込み試験を用いる方法と,横波の振動を与えて硬さを計測する方法を考案し,両手法の開発を進めていく.本年度は,両手法における動的挙動現象に対して,生体を1次元多自由度集中系にモデル化した. 接触子押込みの方法では,固定壁で囲まれた弾性体の弾性論を参考にして,接触子を押し込み,静止させたときの内部の応力分布と圧子変位の関係から,質量・結合ばね・結合減衰・基礎支持ばね・基礎支持減衰で構成される1次元の集中系にモデル化した.ここで,各ばね定数は弾性率の関数になる.そして,押込試験時の接触子にかかる力・変位の計測結果と集中系モデルの解析結果が一致するように弾性率を同定する手法を提案した.さらに,シリコンの弾性率の測定を行い,レオメータの測定結果と比較した結果,弾性率がよく一致する結果となり,提案手法の妥当性を確認した.これにより,高価な機器を用いることなく,接触子を手で押すだけで,容易に柔軟物の弾性率を計測できる.また,測定した弾性率が接触子の押込み速度に依存することと,その傾向がレオメータの計測結果と一致することを明らかにした. 横波加振の方法では,生体の横振動に対して,質量・結合ばね・結合減衰でモデルを行った.そして,生体を加振させたときの周波数応答計測結果と,モデルによる解析結果が一致するように弾性率を同定する方法を提案した.さらに,横波加振の方法を用いてシリコンの弾性率測定を行い,レオメータの測定結果と比較した結果,弾性率がよく一致する結果となり,横波加振による弾性率測定方法の妥当性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,生体に接触子を押し込んだときの生体挙動解析モデルの作成と,生体を加振したときの振動解析モデルの作成を終えている.そして,その両モデルを用いた弾性率の同定方法を提案し,シリコンの弾性率測定を行い,接触子押込みの方法,振動加振の方法それぞれにおいて提案手法の妥当性を確認している.以上より,計画通りに進展している.
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今後の研究の推進方策 |
生体内に異常組織がある場合に異常組織,正常組織それぞれの硬さと境界の位置を同定する手法を確立する.接触子押込みの方法と振動加振の方法それぞれにおいて,2層もしくは3層の硬さの異なる層が生体断面に存在するの場合を想定し,境界の位置,各層の硬さの同定方法を確立する.そして,断面内で硬さの異なる2層,3層のシリコンを用いた同定実験を行い,同定手法の妥当性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
1年目の計画を終えるにあたって15万円程度の余りが生じたが,次年度の研究に有効に利用するため次年度使用に回した. 次年度はリアルタイムで生体硬さを検出するシステムを制作することになるが,そのための部材を購入する予定である.
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