非線形摩擦をもつ機械システムを対象として,試行の繰り返しにより機械システムを表現する線形モデルおよび非線形摩擦モデルのパラメータを同時に同定することを目的として研究を実施した.昨年度までに射影型反復学習制御に基づく連続時間閉ループ同定法を拡張し,クーロン摩擦モデルやKarnopp摩擦モデルに基づく摩擦補償器を含めたサーボ系に対しては,機械システムの線形モデルと摩擦モデルとを同時に推定できることを明らかにした.本年度は,実機のもつ非線形摩擦特性を詳細に検討し,より精度の高いモデルを推定することを目的として以下の2項目について研究を進めた. (1)Stribeck効果を組み込んだ非線形摩擦モデル(Tustinモデル,Gaussモデル)に基づき,同定アルゴリズムに非線形な基底関数を導入した.非線形関数を導入した場合にも,各試行ごとのパラメータ空間表現が線形とみなせることが確認でき,従来法の学習更新則をそのまま利用できることを示した. (2)実機を用いた場合(事前情報が限定されている場合)の予備実験の方法について検討を行うとともに,提案法を実機に適用する手順を明らかにした. 以上の結果については,学会論文として投稿準備中である.
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