昨年度までに試作を進めた微小液体中に直立状ピエゾ抵抗片持ち梁を配置した触覚センサの周波数応答特性の詳細を検証するため、粘度が異なる2種類の液体とシリコーンゴム中に片持ち梁を配置した触覚センサの周波数応答特性を計測・評価した。この結果、人の触覚受容器であるFAI、FAIIのように液体中に計測素子を配置することによって、特定範囲の周波数を検出するバンドパスフィルタ特性が生まれること、このとき計測可能な周波数が液体の粘度によって制御可能であることを確認した。
この特性は、人がしばらく同じ力で物体を把持し続けた場合に、物体と接触した感覚に慣れ、その触感覚が薄れていくという現象と類似している。このため、センサ構造では、物体表面をなぞった際に生じる摩擦力の影響を取り除くことができる。また、従来の高感度触覚センサのように把持力によってセンサ出力がサチレーションすることがなく、どのような重たい物体を把持したとしても物体の移動・摩擦の成分のみを検出することができることを確認した。
また、試作した触覚センサによる物体のテクスチャ計測性能を評価するため、表面テクスチャが異なる2種類の木材片と金属表面をなぞり、センサ出力の周波数応答を計測・評価した。この結果、木材片をなぞった際にのみ周波数応答が観測されたこと、また木材の表面形状にそったテクスチャがそれぞれの木材片で検出されたことから、試作したセンサは摩擦の影響なしに微小なテクスチャを計測・認識可能であることが確認された。
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