ヘビ型ロボットは細長い構造であるので狭隘地を探索するロボットとしての応用が期待されている.これまでにも多種多様なヘビ型ロボットが研究開発されているが複雑な環境で適応的に移動できるヘビ型ロボットは実現されていなかった. そこで本研究では接触センサ情報を利用した反射行動により複雑な環境を走破するヘビ型ロボットの実現をめざし,環境中にある障害物を避けて移動するのではなく,障害物を利用して推進するヘビ型ロボットのシミュレーションモデルと実機モデルを試作して実験的に提案アルゴリズムの検証を行った. ここで,ヘビ型ロボットは環境とインタラクションした場合に垂直効力を測定するためのセンサを備え,あるリンクに接触刺激があった場合に反射的な振る舞いを行う.具体的には,反側抑制と呼ぶアリゴリズムを導入しており,障害物と接触をして刺激のあったリンクの近傍の駆動関節に対して,障害物を押し戻すような駆動パターンを実装した.これにより,シミュレーション内に構築した,杭が格子状に配置されている環境内においては,スタート地点からゴール地点まで効率な推進ができることを確認した.さらに,ロボットが環境から受ける力が釣り合う場合において,環境内でヘビ型ロボットがスタックしてしまう場合があったため,反射的な振る舞いにランダム性を加えることで,スタックを回避するようにアルゴリズムを改良した.一方で,3リンク2関節の実機モデルを用いて,左右の壁が平行で狭隘な環境内にて実験を行い,反側抑制の有効性を確認したところ,これにより必ずしも効率のよい推進を行えているわけではないことを確認した.そこで,刺激と反射的な振る舞いのパターンについてさらに考察を行い,垂直抗力だけではなく,接触点の摩擦力の方向を測定することによって,反側抑制と側抑制のアルゴリズムを切り替える必要があるとの考えに至った.
|