研究課題/領域番号 |
25820089
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
青山 忠義 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00569337)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マニピュレーション / 離散力学系 / 周期運動 |
研究概要 |
本研究では,駆動源をもたない対象物に対して駆動台の外力を加えることによる対象物の運動制御法の提案を行う.本年度は,対象物を2次元モデルに限定し,対象物及び駆動台を包括した系のモデル化を行い,構築したモデルに基づいた対象物の傾斜角を目標値に維持する手法を提案し,シミュレーションにより提案手法の安定性を検証した.さらに,実験的検証を行うための実験システムを構築し,実験的検証も行った. 具体的には,対象物を2次元の剛体と仮定し,駆動台によって生成される周期運動を離散力学系として記述し,対象物の運動を表現するため,対象物の位置,速度,回転角,回転角速度から成る状態量ベクトルを定義した.その上で,運動の1周期を4つのPhaseに分割した駆動台の運動設計を行った.駆動台の動作を決定づけるパラメータを試行錯誤的に変化させ,状態ベクトルが安定となる周期運動の探索を行い,探索された周期運動の平衡点周りの軌道安定性を数値解析した.解析の結果,平衡点が漸近安定となっていることを確認でき,提案した運動設計により安定した運動が生成できることを理論的に示した.さらに,数値シミュレーションを通して,実際に対象物の傾斜角を様々な角度へ操作できることを確認した.続いて,実験的検証を行うため,高速・高周波(1kHz)での動作が可能なパラレルリンクロボットのエンドエフェクタに200 mm平方,5mm厚の台座を取り付けることで高速な動作を実現する駆動台の作製した.なお,台座の表面の部材は,摩擦条件の異なった数種類の部材を試行錯誤的に試し,モデルと近い物を選定した.作成した実験システムを用いた実験の結果,対象物をある程度の傾斜角へ操作可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに,対象物及び駆動台を包括した系のモデル化を行い,構築したモデルに基づいた対象物の傾斜角を目標値に維持する手法を提案し,数値解析により提案手法の安定性解析及び数値シミュレーションによる検証を行い,さらに,実験的検証を行うための実験システムを構築し,提案した運動制御法の実験的検証も行い,本課題の基本原理の検証を行えたため.
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今後の研究の推進方策 |
構築した実験システムでは,ハードウェアの制限により検証可能な範囲が限定されているため,新たな実験システムの構築を行う. さらに,扱う対象物を3次元モデルへ拡張し,駆動台による対象物の運動制御法の確立を試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた実験システムでの検証の結果,ハードウェアの制限により検証が不十分となったため,新たに実験システムの構築を試みたが,業者との仕様設計に時間がかかり,年度内に納品が困難となったこと及び金額の問題で次年度使用分と合わせての購入が必要となったため. 新たな実験システムとして,3軸ロボットを次年度使用分と合わせて購入する予定ある.
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