研究実績の概要 |
社会性昆虫,魚や鳥の群れで観察される群知能をマルチロボットシステムへの応用領域はスワームロボティクス(Swarm Robotics, SR)と呼ばれる.SRでは,群れとして協調することでロボット単体の能力をはるかに超える作業の実行を目指しており,特に,比較的単純なロボットで群れを構成するがゆえにシステム全体としてタスク,台数などへの依存度が低いという利点がある.現段階の研究例の多くは群れ行動の生成に主眼を置いており,生物の群れに見られる群れ行動をタスクとしてそれに特化した形で個々のロボットを設計するアドホックアプローチがしばしば用いられている.本研究では,汎用的な手法である進化計算を制御器の設計に適用して観察された適応的な群れ行動の解析を通して,可塑的な役割分担を行うロボットの群れを実現するための知見を得ることを目指した.H26年度は,下に示す通り,動物行動学に基づく行動解析と実機ロボティックスワームの再設計・製作と動作検証実験を行った. ・ロボットコントローラの設計に人工進化を用いる進化ロボティクスアプローチで獲得した群れ行動を解析した.まず,解析対象を大規模なスワームによる高難度タスクでの群れ行動とするため,GPUコンピューティングやクラウドコンピューティングによる分散計算環境への実装を行った.その後,前年度までに提案してきた複雑ネットワークの理論に基づくサブグループの抽出法や行動連鎖の解析の拡張を行った.時系列情報,特にサブグループとその役割の推移や持続時間について解析した. ・前年度までに作成したロボットを改良したもの新規に設計・製作した.ロボットの入出力の構成や役割分担の切り替えが群れとしてのまとまり具合に与える影響を調査した.
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