研究課題/領域番号 |
25820093
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
山田 章 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (20377815)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医療 / カテーテル / 細胞モニタ |
研究概要 |
本研究では、再生医療における三次元的な組織・臓器の構築に際して、体内への埋め込み前に、足場となる骨格内部の奥部や狭所における細胞成育状態を視覚的・機能的にモニタするための手法を構築することを目的としている。再生医療では、生体外において構築した組織・臓器を、体内に埋め込む前に、形態、機能等の視点から評価する必要がある。 本年度は、申請の中心課題となる、細胞観察用の小型カメラ、イオン・ガス濃度モニタ用のセンサ、そして光源を一体化した微小カテーテルを試作するために、全体設計、部品選定、試作を行った。微小カテーテルの主な構成要素は、①観察部、②イオン・ガス濃度検出部、③カテーテルへのパッケージング、であり、個別に詳細な検討を行った。観察部には、サイズが微小でありながら、鮮明な画像を得られることが求められる。イオン・ガス濃度検出部には、サイズが小さく、応答性が高く、測定精度が高いことが求められる。これらの主要構成要素は、細い筒状に一体化し、防水性を付与する必要がある。また、一連の構成機器を協調して動かすためには、接続用インタフェースの選定やソフトウェアを構築など、測定システムの設計が必要である。詳細な検討は次年度の課題であるが、大枠については本年度既に検討を済ませた。このように各部の検討を行い微小カテーテルを試作したことで、構成要素の配置と動きの関係性が明らかになり、試作機の外形状も決定した。また、カメラ前方の画像も鮮明にモニタに映し出されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、必要な機能を組み込んだ、微小カテーテルの設計、主要部品の選定、基本機能の確認、そしてパッケージングを行い、試作第一号機を作成した。観察部は、φ5 mmの小型CCDカメラを市販品から選定して入手し、PCと接続して焦点距離、被写界深度、解像度等を評価した。鮮明な画像を得るために、被写体への照明が必要であるが、選定したカメラには照明も内蔵されているため、別途設置する必要はない。イオン・ガス濃度の検出には、我々が独自に開発してきた半導体イオンセンサを用い、導線の取り回しや接続部の見直し等の修正をした。これら二つの要素を一体化するため、直径φ10 mm、長さ25 mmの円筒状にパッケージングした。そのために、カメラ及びセンサ往来用の外筒を固定するための部品を設計・試作した。また、防水性を高めるためには、組立後に樹脂により隙間を埋める方法が有効であると判断した。防水処理に用いる樹脂材料及び塗布方法の確立は今後の課題である。以上のように、概ね当初計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、微小カテーテルに接続する機器、インタフェース、ソフトウェアなど、測定システムを構築する。本年度、カテーテル設計のために必要なシステムの概略検討を行ったので、これを発展させてシステムの細部まで検討し、計測用ソフトウェア等を構築していく。 研究の進捗は、概ね当初の計画通りであるが、昨年度に所属機関を移動したため、移動先での設備の設置場所確保の関係から、設備の導入が遅れている。これに対して、研究の順序を入れ替えることで、全体としての進捗を確保している。次年度には設備を導入し、早期に稼働させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は所属機関移動に伴う設置場所確保の関係から、設備の導入を先送りした。対応策として、研究の進行順序を検討し、全体としては概ね予定通り進捗できるようにした。 次年度は、設置場所が確定次第、未購入の設備を導入する。当初次年度に予定していたセンサ評価用の精密計測器は、進捗にあわせて機種を再検討の後に導入予定である。 測定システムの製作を推進するにあたっては、測定用回路の構成及び各設定値を最適化する必要がある。そのために回路用部品の製作及び評価用の機材を購入するために経費を要する。また、カメラ画像とセンサ信号の特性を把握するためには、特性評価及びセンサ校正のための環境を構築する必要があり、これに見合った電気、機械部品等を購入する。
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