三次元的な足場骨格内部の細胞成育状態を視覚的、機能的にモニタするために、カメラ、光源、イオン・ガスセンサを一体化した微小カテーテルユニットを構築した。また、生分解性樹脂から奥部や狭所を持つ骨格を作製し、内部に播種した細胞の成育状態を想定して、微小カテーテルにより内部構造の評価を試みた。 (1) 細胞の形態・機能を同時にモニタ可能な微小カテーテルの試作では、微小カテーテルを試作するため、超小型カメラ、LED光源、イオン・ガスセンサをφ10 mmに納めた。pH/CO2を同時に測定するために、ガスイオンセンサ(φ0.7 mm)2本を組み込んだ。カメラ、光源は筐体に一体固定とし、センサ部は筐体をスライドすることで奥方向に往来できるようにした。カメラ画像は、PC画面に表示して確認できるようにした。また、ガスイオンセンサから得られた細胞の呼吸量に相当する活性データは、オンタイムでデータ処理して確認できるようになった。 (2) 複雑な三次元微細構造体に関しては、生分解性樹脂用3次元微細加工法のノズル部及びノズルの移動軌跡を工夫することで、造形の精度と自由度を高めた微細加工装置を構築した。この装置を用いて、細胞播種モデルの基礎となる中空構造体の作製技術を確立した。 (3) 微小カテーテルによる三次元構造体内部の細胞成育状態を評価については、培養中の細胞観察において、以下の課題が残された。観察が培養液中であるため、カメラの防水性及び着色指示薬を含む溶液中での観察性を向上する必要がある。防水性の不足からカメラ内への水の浸透が発生し、長時間の観察に耐えられない問題が残った。また着色液のためにコントラストが不鮮明となった。細胞の呼吸活性は、測定性能面では良好であった。ただし、測定システム全体がかさばるため小型化を要する。
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