電動車いすの安全な操縦を支援するために,三次元レーザレンジセンサ等による環境情報収集および,眼電センサ等による生体情報モニタリングを行い,使用者の置かれている状況(衝突や転倒,転落の危険)や状態(健康やストレス状態)に応じてGoogle Glassによる視覚情報提示,半自律的回避支援,自動的回避動作を行うシステムの構築を行った.三次元レーザレンジセンサにより,実環境下での衝突危険性のある物体の検出および,転落の可能性のある場所の検出を行った.車いすのキャスタが落ち込むような細かな路面性状の検出に関しては,ラインレーザを使用することを提案した.また,提案システムのリスクアセスメントに基づく安全コンセプトの設計を行った.接触型のセンサによる物体との接触がある場合,また生体センサによる操縦者の脈拍のモニタリングが行えていない場合は動作を停止する等,本質的な安全性を確保した上に多重の機能安全要素を構成することで,本質的な安全性としてSIL(System Integrity Level)3~4を担保した上で,機能的な安全性と快適性を提供する操縦支援システムの提案を行った.本質安全性に関わる部分においては,機械的,電気的に直結した安全装置を用い,三次元レーザレンジセンサや眼電センサの情報処理や適応学習アルゴリズムの実装には,開発初期においてはOpenRTMを用い,最終的にはROS(Robot Operating System)への移行を行った.
|