研究課題/領域番号 |
25820101
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
横倉 勇希 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (70622364)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | モーションコピーシステム / モーションコントロール / 力制御 / バイラテラル制御 |
研究概要 |
これまで困難とされてきた,聴覚情報および視覚情報に続く触覚・力覚情報を人類の制御下に置くことが本研究の目的である。研究代表者は実世界の力覚情報の保存と再現に焦点を当てて研究を行っており,これまでに実世界の力覚情報の保存・再現を実現可能なモーションコピーシステムを提案していが,課題は未だ数多く残されており,例えば電流雑音の問題が挙げられる。従来の産業用サーボモータの駆動では PWM(パルス幅変調) を用いることで電流を制御するが,スイッチングノイズにより電流雑音が発生し,結果的にモータの出力推力にも雑音が生じる。この力雑音により高精度な推力の発生が妨げられ,モーションコピーシステムの動作に悪影響を及ぼし,正確な力覚情報の保存と再現を不可能にする。 平成25年度においては,G級電力増幅器に似たダイオードクランプ形リニアアンプ(DCLA)を用いることで,上記の問題を解決できることを確認した。DCLAは電界効果トランジスタ(MOSFET)を多段に接続し,MOSFET1個あたりのドレイン-ソース間の電圧を段数分だけ小さくできることから,一般的に電力効率が低いとされるリニアアンプでありながら,PWMインバータと遜色のない高い電力効率を得ることが可能となる。また,リニアアンプであるためスイッチングノイズは存在せず,低雑音で高精度な推力を発生できる。本研究では,外乱オブザーバを用いたセンサレス力制御系にDCLAを適用し,高電力効率で且つ高精度な力制御を達成可能であることを理論面および実機実験により明らかとした。本研究成果は電気学会英文論文誌(産業応用部門),国際会議 IEEE International Symposium on Industrial Electronics ISIE 2013 の国際会議論文,また電気学会研究会に結実した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度はダイオードクランプ形リニアアンプを制御系に組み込み,提案する力制御系が高精度・低雑音の推力を発生できることを実機実験により確認できたことから,計画通りの進捗状況といえる。また,電気学会英文論文誌やIEEE(米国電気電子学会)の国際会議論文,電気学会におけるメカトロニクス研究会においてそれぞれ論文掲載や口頭発表により,研究成果を国内のみならず国際的に発信した。さらに,平成25年度中に力制御およびモーションコピーシステムに関連する研究成果が,5.165という電気電子分野での高いインパクトファクタを誇るIEEE Transactions on Industrial Electronicsへの掲載が決定したことから,当初の予想された達成度を大きく上回った。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は予定通り提案手法が力制御に対して有効であることが確認できたため,次年度の平成26年度においては予定通りバイラテラル制御をベースとするモーションコピーシステムに適用し,ダイオードクランプ形リニアアンプをモーションコピーシステムと組み合わせた場合の理論解析および実機実験により力雑音が低減され,高精度な力覚の保存と再現が可能であることを確認する予定である。また,今年度得られると予想される研究成果は電気学会の和文および英文論文誌(産業応用部門)とIEEEの国際会議,電気学会のモーションコントロールに関連する研究会への論文投稿・口頭発表を行う。さらに,提案手法についての産業界での応用展開を検討し,モーションコピーシステムの産業界での実用化を推めていきたいと考えている。
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